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円運動〜その舞台裏〜

ここでは円運動について考えてみたいと思います。


上図のように反時計周りに円運動する物体について考えます。
物体のある位置における角度を上図のようにθ、
円の半径をr
とします。すると、物体の座標(x、y)はθとrを用いて
(x,y)= (rcosθ,rsinθ)
実はこれが原点0から物体の位置へのベクトルも同時に表しています。(ベクトルの成分を用いてベクトルを表しています。)

上図のように物体の位置をPとすると、ベクトルであらわすと

となります。
大きさが1のベクトルを単位ベクトルと言うのですが、まさに

が単位ベクトルになります。
大きさが1なので

は向きだけをあわらしていると考えられます。

したがってOPベクトルは
大きさがr、
向きが(cosθ,sinθ)
具体的にはOからPに向かう方向
となります。

大きさが仮に負の値も取れるとしたら(あくまでも仮に)
OPベクトルは
(x,y)= -r {cos(θ+π),sin(θ+π)}
  とも表せます。
これは大きさが −r
向きが{cos(θ+π),sin(θ+π)}
であることを意味しています。
{cos(θ+π),sin(θ+π)}は(cosθ,sinθ)と真逆の向きになります。
つまり、PからOに向かう方向。
上の図でθにπ足したのを考えてみると理解できると思います。
大きさが負になるのはおかしいですから、大きさが負にならないように変形してあげると
-r {cos(θ+π),sin(θ+π)} = r {−cos(θ+π),−sin(θ+π)} = r (cosθ,sinθ)
となります。
結局、何が言いたかったのかといいますと
もし大きさが負になったら
向きが間違っている
ということです。

では物体の位置をベクトルで表すことができたので時刻tで微分して速度を求めてあげましょう。
ここで注意してほしいのはtで微分するのであってθで微分するのではないということです。
例えば、sinθを微分してもcosθにならず

になります。
これはθでなくtで微分しているからと、
半径rは時間に関係なく一定ですが
角度θは時刻tによって変化しているからです。
そこに注意して時刻tで微分してあげると以下のようになります。

今回は理解するためにも厳密に
速度をvベクトル(vの上に→がついたもの)、
速さをv
とします。
求まった速度をわかりやすく変形してあげると以下のようになります。

上の式が何を意味するか位置を求めたときと同様に考えてみると
速度の大きさ(速さ)が

向きが 

下図を参考に向きについて見てあげると
速度の向きは
OPベクトルと直交しているのがわかります。
(速度の向きはOPベクトルを90°反時計周りに回転したものだからOPと直交する。)

大きさについてももうちょっと考えてみましょう。
速さvは

と書きましたが、

が負になるかもしれません。
その時は先ほど書いたように向きが間違っていて逆向きということです。
速さに関して注目してもらいたいのは

が等速でない円運動でも成り立つということです。
等速でない円運動でも成り立つというよりかは
この式から等速円運動の式が来ているといったほうが正しいです。
等速円運動の時は

でωが一定なので
v=rω
とあわらせます。

速度がもとまったのでさらに時刻tで微分して加速度を求めてあげましょう。
加速度をaベクトルとすると

微分すると上のように加速度が求まります。
上の式について見ていきましょう。


と変形できるので加速度は

と変形できます。
この式は
円運動の加速度は円の中心に向かう方向と接線方向とにわけられる。
ことを意味しています。
{cos(θ+π),sin(θ+π)}は(cosθ,sinθ)と真逆の向き。
つまり、PからOに向かう方向だから円の中心に向かう方向。

に関しては
OPベクトルを90°反時計回りしてあげたものだから
OPと直交する方向、すなわち円の接線方向。

円の中心方向に関して
速度は接線方向でしたから
授業で教わる、円運動では
円の中心方向の加速度と速度は直交するというのが
今までの流れからわかるわけです。
円の中心方向の加速度の大きさは

ですから、円の中心方向に関しては
加速度の大きさをαとしてあげると
等速円運動であろうと等速円運動でなかろうと

が成り立つのです。
これもこの式から等速円運動の式が来ているといったほうが正しいです。
実際、

v=rω
を代入してあげると、等速円運動の時の加速度と速度の関係式

が求まります。

接線方向に関して
接線方向の加速度の大きさは

となります。
円運動でなぜ接線方向を扱わないのかというと

が求まらないからなのです。
等速円運動の時は

が0なので
接線方向には力が加わっていないか
接線方向の力がつりあっているということになります。



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