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遠心力と向心力

ここでは、遠心力と向心力の違いについて説明しています。


遠心力と向心力と聞いて
「ゲイ…,わからない.」

と思ったあなたにとってこのページが理解の手助けになると幸いです.

遠心力と向心力,その違いは何か.式で表すと同じなのにどこが違うのか.
私はこの遠心力と向心力のせいで円運動を習いたての時はこんがらがってワケワカメちゃんでした.
しかし実は,これらの違いは非常に簡単なものだった事が後でわかりました.
特に遠心力の方を理解してしまえば,もう気分は金棒を持った鬼のようになれます.
そんな気分をあなたにぜひ味わってもらうべくここでは遠心力と向心力について説明したいと思います.


ではまず,遠心力について説明します.遠心力でおさえておいてもらいたいのは次の点です.

  • 遠心力は円運動している物体と同じ円運動している人から物体を見たときに,物体に働く力すなわち慣性力の事です

  • つまり遠心力と聞かれた時点で,円運動している物体の運動を「静止している人」から見ているのではなく,「物体と同じ円運動しているしている人」から 見ていることになるのです.

    慣性力の中でも,円運動の時に働く慣性力を特別に遠心力と呼んでいるだけです.
    同じ円運動している人から円運動している物体を見るとどう見えるのか…実は静止しています.
    一番わかりやすい例は静止している人から静止している別の人をみた場合です.この場合,もちろん相手は静止しています. このように同じ運動をしているある人から同じ運動をしている別の人を見た場合,静止して見えるのです.

    同じように動きを止める〜再び〜ではさりげなく加速度運動している物体に視点を変更した場合, 基準となる物体(加速度運動している物体を同じ加速度運動している人からみた場合)は静止しているとしていましたが,その点を動きを止める〜再び〜の例で説明したいと思います.

    上図は質量Mの物体A、質量mの物体Bが一直線上にあって,物体Aは加速度α(>0)で右向きに運動していて, 物体Bは静止している状況です。
    この状況は静止している人から見た状況であって,物体Aと同じ運動をしている人から見た状況は下図のようになります.

    物体Aは静止していて,物体Bには慣性力が働いているように見えます.

    …とここまでは動きを止める〜再び〜で書いたお話です. では物体Aと同じ運動をしている人からみた場合,物体Aは静止してみえる理由を細かくみていきます.

    理由を一言で言うと,物体Aにも慣性力が働いているからです
    順を追って説明しますとまず,物体Aは加速度αで運動しているとありました. 加速度運動しているということは物体Aに加速度の向き(この場合は右)に力が働いていることになります. その力をFとすると下図のようになります.下図は静止している人から見た図です.

    ちなみに物体Aに関して運動方程式を立ててあげるとF=Mαとなります.
    これを物体Aと同じ運動をしている人からみると慣性力が働き次の図のようになります.
    物体Aには慣性力Mαが物体Aの加速度と逆向きの左に働きます.物体Aの質量がMであるためAに働く慣性力はMαになります. 物体Bの質量はmであるから物体Bに働く慣性力はmαになります.
    物体Aと同じ運動をしている人から物体Aを見ると静止して見えるのはこの慣性力と物体Aに働く力Fがつりあっているからです.
    このときの物体Aに関して力のつりあいの式を立ててあげるとF=Mαとなります.

    静止している人から見た場合も,物体Aと同じ運動をしている人からみた場合も物体Aに関する式の見た目は同じになりました.
    これと同じことがまさに遠心力にも言えるのです.
    見た目は同じ式ですが違いは静止している人からの視点か,同じ運動をしている人からの視点か です.重要なのはどこから運動をとらえているかという点です.
    では実際に,円運動の場合でも例をあげて説明したいと思います.……が思いのほか長くなってしまってので別のページで説明します.


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