静止摩擦力・続編
ここでは引き続き、静止摩擦力について説明しています。
物体はあらい斜面上で静止しているとします。また、
斜面と物体の間の 静止摩擦係数を
μ
物体の質量を m
重力加速度を g
斜面の傾きを θ
とします。
(問)
『物体が斜面から受ける摩擦力は?』
正解は mgsinθ です。
μmgcosθ と答えた人は間違っています。
なぜか?
まず静止摩擦力は
静止摩擦力 ≦ μN
であらわせます。
= ではないのに注意してください。
では
静止摩擦力=μN
となるのはどういう時だったかを考えて見ましょう。
= となるのは
物体が斜面に対して滑り出す直前です。
この時の静止摩擦力をよく最大静止摩擦力と言います。
今、物体は静止していて滑りだす直前ではありません!
ですから
静止摩擦力 < μN
です。静止しているから斜面方向に関して力はつりあっています。
斜面方向の力のつりあいを考えてあげると
重力の斜面方向の成分と摩擦力がつりあっているわけですから
答えは mgsinθ となるわけです。
もし物体が滑り出す直前の静止摩擦力は?と聞かれたら
静止摩擦力はμNになって、
Nは斜面に垂直な方向の力のつりあいを考えてあげると
N=mgcosθと求まりますから
答えはμmgcosθとなります。
この違いは非常に間違いやすいので本当に気をつけてください。
ですからこれからは安易に
摩擦力=μN
としないようにしてください。
文章で言われている状況をよく把握して的確に摩擦力を判断しましょう。