物理教室

問題12 問5の解答


問題文に書いてあるように、物体の運動方程式は
ベルトに対して静止するまで問2で求めた運動方程式と同じです。

なかには、壁から見たら物体は
壁に向かってくるように運動する(左向きに運動する)から
動摩擦力の働く方向は逆(図の右向き)になるんじゃないのか?
と思ってる人もいるんじゃないでしょうか。
これは間違っているのですが、なぜ間違いなのか解説したいと思います。

この場合、摩擦力はベルトと物体の間に働く力です。
ベルトから物体に、物体の運動を妨げる向きに働きます。
ここで注目してもらいたいのは、ベルトから見て物体はどちら向きに運動しているのかという点です。
これは相対速度を考えればわかります。
たとえば問4で求めた、壁からもっとも離れる位置では、物体は壁からみたら静止しているので、物体の速度は0です。
しかし、ベルトから見ると物体は速度ω{=0-(-ω)}で運動しています。
つまりベルトから見たら物体は右向きに運動しているのです。
次に、物体が壁からみて速さVで壁に向かっていく方向に運動している時を考えてみます。
相対速度を考えてあげると、ベルトからみて物体は
ベルトから見た物体の速度=物体の速度−ベルトの速度=−V − (−ω)
より、速度 −V + ωで運動しています。
これは物体が壁に向かっている時でも、物体の速さがベルトの速さωを超えない限り
ベルトから見ると物体は右向きに運動していることを意味します。
そして、物体の速さがベルトの速さと同じになったら
物体はベルトに対して静止するので
物体とベルトの間には動摩擦力ではなく静止摩擦力が働きます。
以上より、ベルトから見ると、物体はベルトに対して静止するまで右向きに運動するので
問題文の記述は正しく、物体は左向きに動摩擦力を受けることがわかります。
今、求めたいのはベルトに対して静止する位置のxの位置ですが、
上に書いたように物体の速度がベルトの速度と一致するときに物体はベルトに対して静止します。
物体の運動方程式は、物体の加速度をaとすると
ma = -k(x-L)
とあらわせるので、物体は単振動することがわかります。
また、物体の単振動の角振動数をω1とすると

になるのが運動方程式よりわかります。
したがって物体の位置と時間の関係は
ある定数A、Bを用いると
x − L=Acosω1t+Bsinω1t
上の式を時間で微分してあげると、物体の速度vと時間の関係が求まり
v=−ω1Asinω1t+ω1Bcosω1t
となります。
初期条件(t=0)より、x=x、v=0であるから A、Bは
x0 − L = A
0 = B
となります。
B=0より
x − L=Acosω1t
v=−ω1Asinω1t
と書きなおせます。
A、ω1は今、代入してしまうと計算が大変になるので最後に代入します。
再確認で、求めたいのは物体の速度がベルトの速度と同じになった位置ですから
時刻Tの時に、物体の速度が−ωになって、位置がXであったとして
位置Xを計算して求めていきます。代入すると
X − L=Acosω1
−ω=−ω1Asinω1
となります。

と式を変形して、両辺を2乗してあげると

となります。ここで2つの式を足し合わせてあげます。その際、

を用いると

となります。したがってX−Lは

となります。±で2通り出てきますが、求めたいのは最初に物体の速度が−ωになる時です。
物体は壁から最も離れた位置からだんだん壁に近づいています。
したがって最初に速度が−ωになるのは+のほうですのでXは

となり、A、ω1を代入してあげると答えは

となります。念のためいっておきますと
x0 -Lは2乗されているのでL- x0を2乗したのと同じになります。
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