問題6 [f]の解答
R点とT点の間のある位置に小物体がある時を考えてみます。
この時、小物体とOとRのなす角度を上図のようにψとします。また、
垂直抗力をNψ
小物体の速度をvψ
とします。
小物体に働く力は
慣性力、重力、曲面からの垂直抗力の3つになります。
ちょっと!ちょっとちょっと〜!
待ってください。解けない!!
この問題は、円の中心方向に関して運動方程式を立ててあげても解けないのです。
では、どうするか
エネルギー保存則を使います。
といっても小物体の運動方向に慣性力という外力が働いているのため力学的エネルギー保存則は使えません。
ここでは
力学的エネルギーの変化=外力のした仕事
を使います。
でも、それでは赤本の解答と同じになってしまいます。
ですからここでは、接戦方向の運動式を用いて、「力学的エネルギーの変化=外力のした仕事」を導きたいと思います。
なぜ、接線方向の運動方程式を使うのかは
円運動におけるエネルギー保存則は
実は接線方向の運動方程式から求まるからです。
それでは実際に問題を解いてみます。
まずは接線方向に関して軸を図のようにとります。
小物体の接線方向の運動方程式を立ててみます。
加速度を
となります。ここで両辺に角速度を掛けてあげます。すると
となります。なぜ、角速度をかけるのかは積分するためのテクニックです。
今回、積分するのは時間tであって角度ψ(プサイ)ではありません。
したがってsinψとcosψを微分すると以下のようになります。
速さと角速度の関係より
運動方程式の右辺の角速度に代入してあげると
となります。これでようやく積分できる形になりました。
ついでですが、軸を逆にとった場合、速さと角速度の関係は
となります。
時間で積分できる形になったのでR点からT点の範囲で積分します。
ここでは、R点での時刻を
T点での時刻を
とします。積分すると
となります。右辺について
R点での速さが
T点での速さが
であるから
となります。計算すると0になるのですがここではあえて残しておきます。
同様に左辺について
小物体がT点の時の角度、∠ROTを
とします。
R点の時の角度は0であるから
となります。したがって
は
となります。r>0ですから両辺にrをかけてあげると
となって、左辺の項を右辺に移項してあげると
となり、この式はまさに
外力(慣性力)のした仕事=力学的エネルギーの変化
を意味しています。というわけで見事、接線方向の運動方程式からエネルギー保存則が導き出せました。
問題に戻りますと接線方向の運動方程式を積分したものは
となったので、簡潔にしてあげると
となり、両辺mgでわると
となります。三角関数の合成を使ってあげるとこの式は
となって
最終的に、上のようになります。(πは180°を意味します。)
この条件を満たす角度は
60°か120°になります。
したがって
0°か60°になりますが0°は適さないので答えは
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